「読む」を楽にするヒント

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「国語が苦手」「文章を読むのが苦手」そんな方へ、読むのがちょっと楽になるヒントをお伝えしたいと思います。実際に私が、クリニックや学校で患者さんや生徒さんと試してみたものです。

苦手なことは無理にがんばりすぎないのが大事です。本人も支援者やご家族も、ツールや方法などを活用して、どうやったら楽になるかを考えていきましょう!!

目次

視線があちこち飛んでしまって読めないとき

文章を読むのが苦手…という方の中に、読んでいる行に集中できずに「視線があちこち飛んでしまって読めない」という人がいます。そういう方におすすめしているのは、「リーディングトラッカー(読書用定規)」というツールです。

リーディングトラッカーは、読書が困難な人のためにつくられた「読書補助具」です。ディスレクシア(読み書き困難や読字障害)、視覚障害(視野狭窄(きょうさく)や黄斑変性(おうはんへんせい)などの人の読書をサポートします。

学校で、ASDの診断を受けている生徒さんが、プリントや試験問題を読むのに苦戦していたので試しに使ってもらったら、かなり読むのが楽になったと言っていました。

「文章を読んでいると、気づいたら別の行を見てしまっている」と話す大人の方にも試してもらったところ、「これなら読める」とのご感想でした。

色は人によって見やすい色があるそうなので、いくつか試してみるしかないのですが、赤系統の色が見やすい方が多い印象です。

リーディングトラッカーは、各社いろいろなものが出ているのですが、「キハラ」さんというメーカーのものがおすすめです。微妙に色や耐久性が異なります。ここでご紹介しているのは、楽天市場の「学びmono」さんというショップで販売しているキハラさんのリーディングトラッカーになります。Amazonでは見当たらず…。

私はスクールカウンセリングのときなど、いつも数枚持ち歩いていて、気に入ってくれた生徒さんにはそのままあげたりしているので、すでに何度かリピート買いしています。

他にもAmazonの電子書籍、kindleアプリにも「読書用定規」という機能がついています。読んでいる文章の下に定規をあててて読んでいくような感じです。アプリの右上にある「Aa」⇒「その他」を見ると一番上に「読書用定規」という項目があります。色などを選んで使えるようになっているので便利です。

ちなみに、たくさん文章を読む必要のある方や老眼で文章を読むのがしんどくなってきた方にもおすすめですよ~♪

読んだところから忘れてしまうとき

国語が苦手、文章読むのが苦手、という方の中には、ワーキングメモリ(作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力)が不得意、ということがあります。

これを何とかサポートできないかなと思って探していたときに見つけたのがこちらの本です。

ワーキングメモリを生かす指導法と読み書き教材

ワーキングメモリに注目した学習指導教材で、文字を正確に読めない、読むのが遅い、板書に苦労している、漢字を覚えられない、語彙が増えない、選択肢の問題が苦手、文を読んでも意味を理解していない、作文が書けない…などのつまづきに合わせて教材づくりができるようになっています。

おすすめポイントは、「ワーキングメモリチェックリスト」と「CD-ROM収録のプリント教材」がついていること。

「ワーキングメモリチェックリスト」は、自分がどこでつまづいているのかが分かるだけでも、ホッとすることもありますし、周りも「なまけていたわけじゃないんだ」と理解が深まることもあります。

「CD-ROM収録のプリント教材」は、そのままでもつかえますし、アレンジしてつくることもできますので、とても助かります。

ちなみに、こちらの本は子どもさん用になってはいますが、大人でも使える部分もあります。実際、「長文読解が苦手」という方の支援として活用したところ、「自分はただただ国語が苦手なだけだと思っていたけど、こういうところでつまづいていたというのが分かってよかった。職場でもまえよりだいぶ書類の作成がしやすくなった」と言っていました。

学校で、「なまけている」と思われがちな子どもには、何かしらのつまづきポイントがありますので、大人がしっかり見極めてあげる必要があるなあと思いますね。

読まずに耳から聞くというのもアリ!

最近は、技術の進歩によっていろいろなツールも使えるようになってきました。耳で聞くことが得意な方であれば、音で聞いてしまうというのもアリです。

パソコンや読書アプリには「読み上げ機能」もついていますので、視覚障害のある方以外でも使うことができます。実際、私自身も最近「乱視」がひどくなってきてパソコンなどの文字を読むのがつらいので、「読み上げ機能」を使って聞くことが増えました。

また、マルチメディアデイジーというものをご存じでしょうか。DAISYとは、Digital Accessible Information Systemの略で、日本では「アクセシブルな情報システム」と訳されています。視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためのアクシブルな電子書籍の国際標準規格として、50カ国以上の会員団体で構成するデイジーコンソーシアム(本部スイス)により開発と維持が行なわれている情報システムを表しています。

マルチメディアデイジー教科書マルチメディアDAISY図書などがありますので、全学校に導入されてほしいです。

読むって楽しい♪が何より大事

子どもの頃、遠くへ引越しをして友だちと離れてしまった私は、すぐに新しい土地にはなじめなくて、毎日本を読んで過ごしました。

本の中の世界は広くて、遠くの街、見知らぬ国や空想の世界…どこへでも行ける気がしました。今思えば現実逃避だったかもしれませんが、私にとっては本を読むことが「救い」になっていたのだと思います。

学校では、教科書を読むことから始まりますよね。読むって楽しい♪と思えなかったら、学ぶ楽しさへはなかなか進めないと思うのです。

最近は動画で学ぶことも多いと思うけれど、活字の良さは「どこまでも自分オリジナルの想像の世界を広げていけること」です。この楽しさを「読む」を通して味わってほしいなあと願います。


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